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グローバル・ユニオン、鉱山保安めぐりチリの責任を追及

27 March, 2011

輸出収入総額の49%を鉱業から得ているチリにあって、鉱業の安全性は暗黒時代にある。昨年秋、この国の二面性が明らかになった。セバスティアン・ピニェラ政権は世界の注目が集まる中で、世界最高レベルの技術・工学専門知識を総動員してサンホセ銅山から33人の鉱山労働者を救出したが、その陰でチリは相変わらず、生命を脅かす管理しがたい厄介な安全慣行にどっぷり漬かっている。

救出から5日後の10月18日、ピニェラは「まとまりのない国内の安全体制を改革し、国際基準を採択する」と全世界に対して約束したが、これまでに何の措置も講じられていない。実際に、ICEMは2011年初めに政府高官と会談した際、「国内安全基準の改革や国際基準の採択は議題に盛り込まれていない」と言われた。

ICEMは政府首脳に対し、「ピニェラが鉱山労働者の救出劇でチリの世界的地位を高めたとおり、チリの重要性は、まさに卑金属や鉱物資源に恵まれている点にある」と指摘した。多少なりとも世界に通用するレベルの国になりたければ、その富を採掘する労働者のために世界に通用する安全な採掘慣行を実施しなければならない。

そこでICEMはIMFとともに、ピニェラ政権に変革を強く要求するキャンペーンを開始した。そのキャンペーンには、他のグローバル・ユニオン・フェデレーションや全国組合、労働組合活動家も加わり、チリにILO条約第176号(鉱山における安全および健康に関する条約)の批准を要求した(ICEMの条約第176号グローバル・キャンペーンを参照)。

このキャンペーンには、チリの2大鉱山労連の傘下組合も同時に参加した。両連合団体は、チリ銅公社だけでなく大規模鉱山を所有する主要鉱山会社各社でも、労働者を組織化している。

政府の皮肉な態度が最もよく表れているのは、ピニェラが設置したサンホセ鉱山調査委員会の顔ぶれかもしれない。130人の鉱山労働者が組合に加入しているにもかかわらず、この委員会には労働組合代表が1人も加わらなかったのである。ILO条約第176号は、労働者と労働組合を鉱山検査や事故調査に参加させなければならないと定めている。

サンホセではミネラ・サン・エステバン社の第2組合が、安全を脅かす危険因子について繰り返し警告し、一度は鉱山閉鎖を求めて法的な異議申し立てまで提出した。しかし、組合が安全衛生条件について警告しても、政府と業界は「組合の任務は経済的条件を取り決めることであって、安全衛生問題に参加することではない」と繰り返すばかりである。

2007年に1人の鉱山労働者が死亡したあと、地質鉱山局(SERNAGEOMIN)は、しばらくサンホセ鉱山を閉鎖した。しかし同鉱山は、別の政府当局者の命令で直ちに再開された。この当局者は閉鎖報告書を読んでおらず、不備を是正するという所有者の誓約をうのみにした。

所有者の誓約の1つは、条約第176号に定める基準である第二の出口として、通気坑にはしごを設置するというものだった。この誓約は守られず、追跡検査も行われなかった。そして第二の出口がなかったために、実際に33人の鉱山労働者が69日間にわたって閉じ込められることになったのである。

SERNAGEOMINは安全衛生検査機関ではないが、安全衛生当局の役割を果たしており、チリでは6つの省に同じような部局が設置されている。あらゆる活動分野を管轄する6省に安全担当機関があり、機能が重複しているのである。どの機関も、鉱業部門の数少ない規制を実施する司法権を持っておらず、検査を実施して事故を未然に防止する技術力がない。

要するにチリでは、条約第176号の必須条件が1つも実施されていない。すなわち、定期的な検査、危険な事態や事故を報告・調査する一定の手続き、労働組合との協議、危険な鉱山を閉鎖する権限を持つ規制当局、危険な作業を拒否する権利、労働者が自らの安全代表を選べるようにする措置、訓練を実施する使用者の義務である。条約第176号は使用者に、職場の危険を取り除くだけでなく、危険の原因を取り除く責任も負わせている。

したがってICEMはチリに対し、国内の鉱山保安法を改革するだけでなく、ILO条約第176号の基準を批准・実施して完全に遵守することも要求している。