3 October, 2005 第一号 2005年9月発行
これはHIV/エイズ電子メール版ニュースレター第一号です。この電子メール版ニュースレターはHIV/エイズに関するICEMの情報戦略の一環として定期的に発行されます。職場問題に焦点を当てた記事を中心に、ILO、及びILOHIV/エイズと労働の世界に関する計画、国連エイズとWHOのHIV/エイズに関する共同国連計画、エイズ、結核、マラリアとの闘いのためのグローバル基金などの国際政府間組織のニュースの記事やICEM及び他のGUFからのニュース並びに産業協会からのニュースを記載します。また、HIV/エイズについての知識を深め、HIV/エイズとの闘いの取り組みを拡充したいと考えている労働組合活動家にとって有効なウェッブサイトへのリンクや教材を提供します。
ICEM加盟組織はすでに幅広い活動に取り組んでいます。中には企業と正式に合意した組合や職場で教育訓練計画や意識向上計画を実施している組合もあります。新しい合意やキャンペーンについての情報を広め、ベストプラクティスを構築していくために、加盟組織やプロジェクトコーディネーターの方々に[email protected] までニュースや情報を送っていただければ幸いです。また、この電子メール版ニュースレターの形態や内容についてのコメントも歓迎します。
電子メール版ニュースレターの配信の登録は[email protected]までEメールにてお願いいたします。その際、件名のところに ‘subscribe ICEM HIV/AIDS e-bulletin’ とお書きください。
HIV/エイズの条項が入ったICEM/スタットオイル社グローバル協約改定
ICEM及びICEM加盟組織NOPEFはノルウェーの石油ガス企業のスタットオイル社と締結しているグローバル協約を改定した。このグローバル協約は1998年にICEMとスタットオイル社が初めて締結して以来、これまでに2回改定された。今回の改定ではHIV/エイズの条項が挿入された。条文では「当該企業はHIV/エイズに関する明確かつ協力的な対策方針を提供し、当該対策方針はスタットオイル社のすべての事業所において実効ある形で実施されるものとする。」と明記されている。
ICEMが締結している他のグローバル協約が改定される場合、また新たにグローバル協約を締結する際には、ICEMはHIV/エイズの条項を組み込む取り組みを展開する。
HIV/エイズとの闘いにおける企業の重要な役割
HIV/エイズに関するグローバルビジネス同盟(Global Business Coalition on HIV/AIDS )リチャード・ホルブルーク会長(元米国大使)はニューズウィークのインタビューに答えて、HIV/エイズの予防と治療について職場レベルでの取り組みの重要性を強調した。彼によれば、世界のHIV陽性反応を示している人々の95%は自分がHIVに感染していることを知らないため、当人の身体に何の兆候や症状が出て来ない7年かれ8年の期間、ウィルスを蔓延させている、という実情がある。自発的にテスト受けことなしに、またこのテストを受けることを強く奨励し、予防対策を取ることなしの状態では、治療にかかる支出はストップがかからないほどの額となる。従って、企業は予防と治療についてかなりの取り組みをする必要がある。
ホルブルーク会長は、アフリカはHIV/エイズ問題の核心に位置していることを認るが、アフリカの疾病ではない、と強調している。HIV/エイズの蔓延率が最も高い諸国はロシア、ウクライナ及びインドだ。これらの諸国におけるエイズ有病率はまだ今のところ低いが、人口が多いため、一位か二位の犠牲者数を出しているのが現状だ。
グローバルビジネス同盟(Global Business Coalition on HIV/AIDS )は加盟企業のHIV/エイズに関する対策方針についてのさまざまなケーススタディーをそのウェッブサイト(www.businessfightsaids.org)に載せていますので、ご参照ください。
(出所: Newsweek 2005年8月15日号)
期待額を確保できなかったグローバル基金の基金補充会議
9月初め、ロンドンで開らかれた基金補充会議において、関係各国の政府がグローバル基金に援助する額を提示したが、この額の総額は37億米ドルとなり、期待された額より相当低い額となった。2年間の再検討期間の後、2006年度及び2007年度の援助更新分と2005年度に予想された不足分への援助額を充足する額ではあるが、新規援助分の資金はまったく出ないという資金調達レベルだ。新規援助分を加えた援助必要額は70億ドルと予想されている。ただし、会計年度開始時期の関係から、援助金額を現時点で提示できない諸国もあったことは確か。これらの諸国からの資金援助額ならびに2006年6月に開催が予定されている次回の基金補充会議で拠出される資金があるため、新規援助計画が可能になるレベルまでに、援助総額が上がる可能性はまだある。米国はこれまでに6億ドルの資金援助を示しているが、これは援助資金提示額の3分の1を拠出するという目標額よりも大幅に低い額だ。
6月に開かれたG8サミットでは2010年までにHIV患者で必要とするすべての人々に抗レトロウイルス治療を施すというコミットメントが提示されたが、上記のように援助へのコミットメントがかなり低い状況を見ると、疑問を呈さざるを得ない。この6月、WHOは100万人の人々が抗レトロウイルス薬 (ARV)治療を受けていると報告した。今年度末までに300万人の人々にレトロウイルス薬治療を提供するというWHOのイニシアチブは達成不可能となりそうだ。
(出所: Global Fund Observer Newsletter, 50号 2005年9月7日発行)
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最悪となった南アで働くモザンビーク人鉱山労働者のエイズ死亡者数
モザンビークの労働副大臣によれば、南アフリカで働くモザンビーク人の鉱山労働者のエイズ死亡者数は最悪状況となった。過去4年間に2500人のモザンビーク人鉱山労働者がエイズで亡くなった。この数はエイズ患者として認知された人の数のみであるため、真の死亡者数よりもかなり低い数値であることは確かである。現在、南アフリカの鉱山事業所には4万6千人のモザンビーク人が働いている。HIV/エイズ感染が判明すると、労働者を即時本国に送還するという差別的対応を実施している南アフリカの鉱山企業もある、と記事には書かれている。本国に送還された鉱山労働者たちはモザンビークで亡くなっているため、彼らは南アフリカのエイズ死亡者の統計数値には含まれない。
(出所: www.allafrica.com from Agencia de Informaçao de Moçambique,
2005年9月13日)
ILOエイズのウェッブサイト
ILOエイズのウェッブサイトを見てください。このサイトは今年、デザインを刷新した。
www.ilo.org/public/english/protection/trav/aids/index.htm.
新たに職場行動計画についてのステップ・バイ・ステップの手引き、関連会議、セミナー等の開催案内や新規発行報告文書などの配信登録システム、労働の世界部門におけるHIV/エイズ問題中心の24時間ニュースサービスが記載されいる。HIN/エイズと労働の世界に関するILO行動規範(20あまりの言語で刊行)もこのサイトでダウンロードできる。