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ICEM HIV/AIDS Eニュースレター  No. 8

3 May, 20062006年5月

4月28日 – 国際労災被災者追悼の日(IDC)

世界各国の労働者は職場での事故や産業衛生問題あるいは持続可能でない職場に働いた結果亡くなったり、負傷したり、病気になった何百万人もの労働者を悼む活動に参加した。今年はアスベストの全面的使用禁止とHIV/AIDSとの闘いに焦点が当てられた。

国際労働諸組織や各国の労働組合は、大規模なキャンペーンを展開し、G8の諸政府に対してロシアのセントペテルスブルグで開催が予定されているサミットにおいてHIV/AIDSに関するG8ハイレベル常設作業委員会を設置するよう呼びかけた。この作業委員会の設置は、2005年にスコットランドのブレンイーグルスで開かれたサミットでG8諸国が誓約した約束、すなわち、2010年までにエイズ治療へのユニバーサル・アクセスの実現とHIV感染予防用のワクチンの開発の推進につながることになる。(2006年4月発行のNo.7を参照のこと。)

GUF諸組織はICD活動についての報告書であるワークブックを更新した。この報告書はhttp://www.global-unions.org/pdf/ohsewpT_4c.EN.pdfにてアクセス可能。

UN国連エイズ計画の共同スポンサー組織委員会で現在議長を務めているILOは職場問題としてのHIV/AIDSに注目し、「ディーセントワークー安全な労働―HIV/AIDS(“Decent Work – Safe Work – HIV/AIDS.”)」と題する報告書を作成した。


グローバルユニオン諮問委員会

HIV/AIDSに関するグローバルユニオン計画諮問委員会は4月4日から6日にかけてジュネーブで会合した。当該委員会はすべてのグローバルユニオン組織、援助組織、ILO及び国連エイズ計画の代表が一同に集まる委員会。当該委員会は2006年度及び2007年度の戦略的活動計画と主要会議への共同行動計画を策定した。グローバルユニオン計画の目標は以下の通り。

  • HIV・AIDSを労働組合の優先取り組み事項とする。
  • 労働組合の取り組み能力を強化する。 
  • エイズ問題への対応に関連して労働組合のポジションを明確にし、パートナーシップを拡充する。
  • 原資を注入する、特にナショナルレベルにおいて原資を注入する。

当該計画についてさらに知りたい方は www.global-unions.org/hiv-aidsにリンクしてください。


エイズに関するハイレベル会議

国連総会は、2001年に開催された特別総会で加盟諸国がHIV/AIDSに関するコミットメント宣言として採択された目標の達成状況を総合的に検討する予定である。この検討は5月31日から6月2日にニューヨークにある国連本部で開かれるハイレベル会議期間に行われる。

国連は2005年末までの進捗状況について報告書、「Declaration of Commitment on HIV/AIDS: Five Years Later (HIV/AIDSに関するコミットメント宣言:5年後の今)」と「Towards Universal Access: Assessment by UNAIDS on Scaling Up HIV Prevention, Treatment, Care and Support(ユニバーサル・アクセスに向けて:HIV感染予防、治療、ケア及び支援の充実化についての国連エイズ計画による査定評価)」を作成した。

国連事務総長は、報告書の前文の中で、エイズ対策の緊急強化に失敗すれば、HIV/AIDSに関するコミットメント宣言の2010年やミレニアム目標6を達成することができないことになる。」と警告している。

(注:幾つかの公式文書にある‘ 2010年までにHIV/AIDS治療へのユニバーサル・アクセス’という表現は2010年までにHIV/AIDSへのユニバーサル・アクセスにできるだけ近い状況‘という表現に変わっている場合もある。)

市民運動団体及び労働組合もこの重要な会議に代表を送る予定だ。南ア政府は治療行動キャンペーンと他の2NGOの参加に反対するとともに、これらの組織の認定を拒否した。


バングラデッシュ

ICEM加盟組織、バングラデッシュ化学エネルギー関連産業労連はHIV/AIDS問題の取り組みを開始した。ICEMへの広範な取り組みの報告の中で、同労連はリスクの高い行動形態がもたらす危険性について指摘している。

バングラデッシュのHIV流行は全般的に非常に低い状況ではあるが、セックス産業の規模は大きく、コンドームの使用が低く、麻薬使用者の注射針の共同利用の率も高いという実情から、緩慢ではあるが、着実にHIV感染率が伸びているのが現状だ。同労連はHIV/AIDSについての意識向上及びHIV/AIDS予防のキャンペーンに参加している。


世界銀行、ウクライナのAIDSプロジェクトに6000万ドル投入を延期

世界銀行はウクライナ政府がプロジェクト実施に失敗したため、HIVAIDS及び結核と闘う6000万ドルプロジェクトの実施を延期した。2004年1月に割り当てられた資金の2%としか活用されなかった。これはウクライナで治療を必要としている人々にとって大きな悲劇である。同国は欧州で最もHIV/AIDS感染率が高い諸国の一つである。

(コメント:一連の政治危機がこうした状況をもたらしたと考えられるが、世界銀行はこのような大規模プロジェクト実施のための能力構築をプロジェクトに組み込まなかった可能性がある。)

(資料出所: Kyiv Post, 2006年4月16日)



ジンバブウエーの平均寿命年齢 – 2006年度世界保健報告書

世界保健機構(WHO) は2006年度世界保健報告書を5月22日ー26日にジュネーブで刊行した。

多くのデータの中で顕在化しているのはジンバブウエーの平均寿命の統計値である。36歳という平均寿命は世界のどの国よりも低い。若年層の死亡率が高いのは主にエイズで死亡する若者が多いからだ。

10年前、平均寿命はまだ56歳に留まっていた。女性の平均寿命(34歳)が男性の平均寿命(37歳)よりも低いのは世界でもジンバブウエーだけである。行動形態が変わったことが、近年の同国におけるHIV感染率の低下につながったと考えられるが、もっと悲惨な事実は、多分、エイズによる死病率が高いため、エイズ感染率が下がっているのだろうということだ。エイズで亡くなった人々はHIV/AIDSとともに生活をしている人々の統計値には含まれないからだ。

2005年末、ジンバブウエーで抗レトロウイルス治療を受けたのは2万人に過ぎない。ターゲットは14万5000人だった。この数は治療が必要な人の29万5000人の約半数である。


世界基金フェーズ2認定プロセス

実施後二年経過した世界基金援助計画124のうち、当初の申請案に提示された実施目標を充足したか、あるいはそれ以上の成果を上げたのはわずか23%にしか過ぎなかった。これらのプロジェクトはランクA に属する。

(注: 世界基金援助の認定期間は5年間だが、2年目に再検討と評価査定が行われる。当該基金はその後、3年から5年のプロジェクトとして再認定するかどうか、決定する。)

その他の援助プロジェクトは条件付あるいは修正して実施を求められるB1あるいはB2にランクされた。フェーズ2の実施のための資金援助を得ることができないCランクになったのは2プロジェクトだけだった。(セネガルと南アフリカ)

(資料出所: Global Fund Observer, 2006年4月16日56号)

理論的には、グローバル基金はフェーズ1の後だけではなく、プロジェクトのどのレベルにおいてもストップすることができる。グローバル基金理事会は4月27日―28日に、パーフォーマンス不十分という理由で、この特例手続きをナイジェリアの8100万ドル規模の2つのプロジェクトに施行した。一つは第一年度末までに1万4000人に抗レトロウィルス治療を提供するというプロジェクトだったが、実際に治療を受けた人は皆無であった。

同基金理事会は、治療継続の意味から、抗レトロウィルス治療や結核治療を始めた人々は援助プロジェクトが終了しても自動的に治療資金の援助をストップしないことで合意した。

(資料出所: Global Fund Observer, 2006年4月16日57号)

注: Global Fund Observerは世界基金援助計画についてのニュース、分析及びコメントを提供する独立ニュース源である。ニュースの送信を受けたい方は[email protected]宛にメールを出してください。


ILOAIDSからのニュース

ILOAIDSウェブサイトwww.ilo.org/aidsは現在、HIV/AIDSと働く世界に関する情報を盛り込んだカントリープロファイルを掲載している。また、プロジェクト活動の詳細を盛り込んだニュースページにもリンクしている。これまでに15カ国のプロファイルが記載されており、スクリーン左側のメニューをロールダウンすればリンクできるようになっている。

ILOAIDS はウェッブサイト上に、Family Health International と共同で発行し、職場で使えるBehaviour Change Communication (BCC) を記載している。これには教育とジェンダー意識向上及び行動形態の変更を支援するための具体案を通じて予防を強調するステップ・バイ・ステップの取り組み方法が記載されている。


ジェンダーとHIV/AIDSに関する資料・文書パック

ジェンダー及びHIV/AIDSに関する国連エイズ計画関係機関タスクチームは、資料文書パックを策定した。HIV/AIDSの蔓延に拍車をかけている主要ファクターであるジェンダー不平等の問題に取り組むことで、ナショナルレベルのHIV/AIODS計画のインパクトの強化を狙っている。

リソースパックには権利をベースにした取り組み方に関する運営の手引きやHIV/AIDSのジェンダーに関連する側面についての17のファクトシート、HIV/AIDS計画へのジェンダーの統合に関する考察などが含まれている。これらの資料や文書はwww.unfpa.org上でアクセスすることができる。