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HIV/AIDS ニュースレター 第15号

29 November, 20062006年12月

ICEM HIV/AIDS ワークショップをインドで開催

11月16日から19日にかけてインドのオリサ州プリで開催されたICEMのHIV/AIDSワークショップには鉱業、ダイヤモンド、セメント、化学および電力の各産業を組織するICEM加盟組織の代議員ら21名が参加した。ワークショップはインド全国鉱山労連(IFMF)の鉱山労働者および金属労働者教育研究所ネットワーク(IMME)の一部であるガンジー労働財団で開催された。

ベテランの労働組合リーダーであるINMF前書記長および会長、長年ILO理事、前MIF副会長を務めたカンティ・メーがワークショップを開会した。

当該ワークショップの目的はHIV/AIDSという伝染病についてきちんとした知識を持つこと、HIV/AIDSに関するILO行動規範およびワールド・オブ・ワークの紹介と唱導、職場政策の策定と持続可能な援助資金源を得ての活動計画の作成であった。ワークショップでは、現在、どのような政策があるのか、どのような活動が実施されたかについての基礎的調査も盛り込まれた。IMME はカトリック救援サービスの支援を得て、2004年12月から2006年4月までCoal India Limited (インド石炭株式会社)の子会社であるSouth Eastern Coal Limited (サウス・イースタン・コール株式会社) のコルバ炭鉱で意識向上キャンペーンを実施した。

ワークショップは、なぜ労働組合がHIV/AIDSの活動に関与するべきであるか、どのように形で活動を展開することができるか、という問いに答えを示した。参加者たちは差別がなく、迫害しないそして他人に情報を漏らさないケアと支援を提供する職場のための政策方針と行動計画を作成した。

 

インドに焦点を当てる

インドのHIV/AIDSに対する全国レベルの取り組みは保健福祉省の部局の一つである全国エイズ管理組織(NACO)が主導している。NACOは1992年に創設され、インドのHIV/AIDS戦略および対策措置の政策方針を提供している。インドは州に自治権を分権した連邦国であるため、各州に設置されている州エイズ管理組織がナショナルレベルで策定された戦略の実施の調整を担当している。一般的な意識向上、情報およびライフスタイルの変更についてのメッセージに加え、インドの戦略はハイリスクグループをターゲットに、自発的カウンセリングおよびテストへのアクセス、母親から子供への感染の予防、また、2004年以降、抗レトロウィルス薬治療へのアクセスをベースとしている。

UNAIDS/WHO 2006年度伝染病アップデートによれば、インドのHIV蔓延状況は地域により大きく異なる。ある地域では蔓延は落ち着いてきたように見えるが、他の地域ではまだ拡大している状況だ。2005年度の陽性者数は570万人。その内、530万人が15歳から49歳の年齢層である。11億人という巨大な人口であるため、有病率は0.9%と低いレベルであるが、HIV感染数ではインドが世界最高となっている。

HIV感染の大半は数地域で発生している。報告されている感染数の約3分の2はインド28州の内の6州に集中している。つまり、主に工業地帯がある南部および東部の州と北東部の州である。これらの州の平均有病率は他の州と比較し、4倍から5倍高くなっている。

インドにおけるHIV感染のほとんどは避妊手段を取っていない異性との性交時に発生している。その結果、HIV陽性者の女性の割合が述べている。(2005年の場合38%あまりとなっている。)これらの女性の大半は娼婦との性交時に感染した通常のパートナーからHIV/AIDSウィルスを感染している。マハラシュトラ州のボンベイやプネの娼婦のそれぞれ54%および49%がHIVに感染している。このようなシナリオの下では、娼婦と彼女らの顧客および彼らのパートナー間の感染の可能性は非常に高い。ウエストベンガル州では娼婦の組織が自ら予防対策を始めたが、インドの他の地域ではコンドームの使用はまだ定着していないのが実情である。

北東部及び主要都市では注射で麻薬を常用する人々がHIV感染の主なリスクファクターとなっている。チェンナイ(旧マドラス)では注射で麻薬を常用する人の31%が陽性者であることが判った。

当該報告書は、とりわけ、汚名問題についてこれまで以上に取り組む必要があるとしている。HIV陽性者やエイズは、インド社会のあらゆる場面において、まだまだ汚名とされているのが実態であり、ジェンダー不均等や他の不均等を失くすことも難しい状況の中で、HIV感染予防やエイズ治療はまさに大きな挑戦となっている。

第3次5年計画 (NACP III)が、現在、策定されている。 11月の初め、世界基金のHIV/AIDSの5年間援助計画では高額援助の一つとなった2億5900万ドルをインドのプロジェクトに付与されることが承認された。

(出所: UNAIDS/WHO AIDS 2006 Epidemic Update 及び UNAIDSカントリープロファイル)

 

インドにおけるゲーツ財団

ビル及びメリンダ・ゲーツ財団は近年最大のスケールのHIV予防計画の実施に向けて5年計画に2億ドルの資金を援助する。同財団の予防対策活動はアハヴァン(行動に向けてというサンスクリット語の言葉)として知られているが、HIV/AIDS感染の主要ルートである商業セックスをターゲットにしている。これは複雑な取り組みである。商業セックスはしばしば、トラックの停留場や小さな村の住宅などで営まれているため、ほとんど目に見えない状態である。

インドで最も陽性者が多い地域の一つである北東部にある遠隔地帯は、これとはまったく異なった問題である。同地域の場合、HIV感染の大半は多数の麻薬常用者が注射針を共用している結果である。

これらの問題すべては非常に保守的な社会におけるエイズに伴う汚名に当面している。

アハヴァンの戦略はビジネススタイルの組織体制を採用することである。製品は予防。ゲーツ財団は顧客と接触するためにピラミッド型の組織体制を整え、150の草の根レベルのグループと活動している15の組織と契約を結んでいる。これらの草の根グループは5000人あまりの娼婦と連絡・接触関係を持ち、コンドームの使用を奨励する活動を展開している。娼婦の多くはHIV陽性者である。

(出所: AP及びWorldMondayの記事から。2006年7月3日)

 

NUM 、ホステル(単身赴任者宿舎)の改造の加速化を要請

ICEM加盟の南ア鉱山労組 (NUM)は 南アの鉱山諸会社に対し、単身赴任者用宿舎を早急に家族用住居に改装するよう要請した。

第二回鉱業三者構成HIV/AIDSサミットにおいて、NUMのフランス・バレニ書記長は単身赴任者用宿舎の廃止はHIV、AIDS、結核との取り組みにおいて大きな効果を提示するだろう、と再度表明した。彼は、家族の住む地域と鉱山事業所を行き来する移民労働者がこれらの伝染病の感染を拡大している事実を指摘するとともに、鉱山労働者用住宅制度ができれば、家族的生活環境を確立し、HIV感染の問題の取り組みやすくなるだろう、述べた。

また、バレニは鉱山労働者のパートナーへの抗レトロウィルス薬治療提供の拡大を強く要請し、アングロゴールド・アシャンティ、アングロコリエリーズ、ゴールドフィールド、ハーモニー及びデベアーズのみが労働者のみを治療している企業であると指摘した。

彼は、2003年に開催された第一回サミット以降、予防対策はほとんど進捗していない事実をサミット参加者に示唆した。バレニは使用者側および政府に対し、自発的カウンセリング及びテスト(VCT)のためにもっとよい環境を整備するよう要請するとともに、 対等グループ支援制度を改善するべきである、と述べた。

(出所: Mining Weekly、南アフリカ、2006年11月6日)

 

ジンバブウェーのエイズ:事実とフィクション

UNAIDSは、最新の報告書の中で、ジンバブウェーを予防対策面での成功例として挙げた。2002年から2005年の期間に妊婦の有病率は29.6%から20.1%に下がった。この数値を見ると、ジンバブウェーはHIV/AIDSの取り組みでは世界の中でも最も成果を上げた諸国の一つとなる。

しかしながら、政府が示した統計数値は事実というより架空の数値を基にしているという指摘がある。永年厳しい経済危機が続いている中で医療保健制度がほぼ完全に崩壊し、予防対策キャンペーンもない状況をかんがみた場合、有病率の低下の事実は信じがたい。さらに、政府自身の数値によれば、2005年末時点で32万1000人が抗レトロウィルス薬治療を必要としているにもかかわらず、治療を受けたのは2万3000人に過ぎないという事実もある。

さまざまなグループの有病率が下がったとするならば、エイズ患者は単純に死んでいるのか、HIV陽性者は仕事を探しに他の諸国に移民した課などの要因によることになる。200万人から300万人のジンバブウェー人が南アフリカに移民したと推定されている。

(出所: Neue Zürcher Zeitung、スイス、2006年11月20日)

 

エイズ、引き続き、グローバルレベルで蔓延

エイズは引き続きグローバルレベルで蔓延している。前はHIV感染率の拡大が落ち着いたか、下がった諸国の中には再び感染率が上っている諸国もある。しかしながら、感染率が下がっている諸国や若者のセックスについての行動がポジチブな方向に変わってきた諸国もある。

UNAIDS/WHO 2006年度伝染病アップデート (www.unaids.org)が発表した最新の数値を見ると、現在、HIVとともに生きている人々は3950万人。2006年に新たに感染した人々は430万人。このうち280万人がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国に住んでいる人々。東欧及び中央アジア諸国では陽性者数が大幅に増加し、中には、2004年以来、感染率が50%上がった国もある。2006年、これまでに290万人がエイズ関連疾病症で亡くなった。

(出所: UNAIDS/WHO 記者発表、2006年11月21日)